一社労士の「芽」

飲食店のインフラもシェアする時代になるか?

スマホのグーグルニュース(Google Discover)が時事情報を得るひとつの手段となっていますが、今日のニュースの中で下記を見付けました。

引用元:PR TIMES
飲食店の“ウィズ・コロナ”EC通販事業を製造から発送までサポートする「タノメル by シコメル」をリリース
「1店舗からのセントラルキッチン」をコンセプトに飲食店仕込み代行サービスを展開する「シコメル」だからこそできる味にこだわる飲食店向けサービス

私が理解した範囲でざっくりと説明をしますと、「実店舗のメニューを半調理(仕込み)したものを食材キッドとして購入でき、自宅でプロの味を楽しめるようにした通販」です。

例えば、「焼いていない餃子」等、半調理したものを実店舗で販売していることも少なくありませんが(特にコロナの影響で増えたかも?)、大々的には対応していないと思います。半調理までしたものと完全調理したものと、形態が同じ餃子のような商品であれば、半調理品を販売するための新しい工程は必要ではないと推察しますが、半調理品と完全調理品でまったく形態が異なるものの方が圧倒的に多いですよね。

それは、小分け梱包等の新しい工程が増えるだけではなく、完全調理品とは違った衛生管理が必要になったりと、小規模事業では参入しようにも壁が高い、ということです。

その解決方法を提案したのが、「タノメル by シコメル」です。
詳細は掲載されていないのであくまでも想像ですが、小規模事業者が自前で持つことが難しいセントラルキッチンを、「タノメル by シコメル」がインフラとして提供し、通販取り扱いにより増えた工程(安全衛生・パッキング等)も引き受けてくれ、小規模事業者側はメニュー開発等のいわゆる「知」や「技術」の部分に注力できる、ということかなと。

一番の壁になるところが取り除かれるので、生産性も非常に上がるでしょうね。実店舗と通販のバランスを最適化できたら、飲食業界では難しいとされてきた「働き方改革」にも繋がります。

また、違う角度からの考察ですが、正直、コロナ対策で急にテイクアウトを始めた飲食店の衛生管理が非常に気になっていました。
考え得る最善の方法で努力する方向は正解ですし応援しますが、安全衛生についてまでは考えが及んでいないのでは、と。
これからの季節、気温も湿度もさらに上がります。パック詰めした商品を強い日差しの下、数時間置く。腐敗と食中毒の危険性が増します。

私は、惣菜事業の本部にいたことがあるので、安全衛生管理の厳しさをよく知っています。
パック詰めの前に荒熱を完全に取る、高温多湿な季節には腐敗防止シート(わさび成分などの)を必ず入れる、購入後の自宅での取り扱い注意シールを貼る(要冷蔵、〇度以下での保存をしてください等)、思い付いただけでもこれだけあります。
また、仕込みをするセントラルキッチンの温度は通年18度に保たなければならない等、調理時点での基準も厳しいです。
当たり前ですが、コロナ対策でテイクアウトを急に始めた小規模店舗はほとんどできていないでしょうね。批判ではなく、現実として。

数日前、小規模店舗のテイクアウトに関する安全衛生について、注意喚起をしている記事を見かけました。保健所へ危惧点に関する確認取材もしていました。現状、緊急事態ということもあり、安全衛生等の基準を満たしていない、業種からテイクアウトが不可となるケース、への指導を控えているそうですが、今後は適正に指導をしていくとのことです。

夕方、緊急事態宣言が解除されました。明日からは「新しい生活様式」を実践しながら、経済回復を目指すことになります。傷跡は深いですが、コロナ「後」ということです。緊急事態ゆえの「お目こぼし」もなくなっていくでしょう。

今回、取り上げたサービスも含め、あらゆる可能性を比較検討し、小規模事業者も事業計画や戦略、組織作りを真剣に考える時です。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP