はじめに
多くの小規模事業者と個人はUSBメモリを「手軽な記憶媒体」としていまだに重宝していると思うが、御多分に漏れず私もそうだった。
感覚ではGoogleDriveやOneDriveなどのWebドライブやHDDを使用する方が安全なのではと考え、実際にUSBメモリからの移行も検討し量販店にも足を運んでいた。
しかし、店員から特に強くHDDへの移行を勧められたわけでもなく、そのままUSBメモリを使い続けていた。
ところがまったく予期せずに、ある日突然、USBメモリにアクセス自体ができなくなるという事態が起きた。
そこからAIの助けを借りて対処していったが、データ管理そのものを考え直す痛い経験となった。
この記事では、インシデント発生日の状況を整理しながら、 そこから見えてきたリスク管理の本質をまとめておきたい。
インシデント発生
- 連休を目前にした4月下旬に発生
- 事業データを見るためにUSBメモリにアクセスしようとし、繰り返しパスワードがはねられる
- 作業環境は自宅
- PCは正常、自宅ネットワークも正常
- 素人判断は危険と考え、「保存データに影響を及ぼさない状態の確認方法」をAIで調べる
- 物理的破損が疑われ、データ復旧業者への依頼が必要となる
インシデントの原因
USBメモリを含む物理メディアの限界を過小評価
USBメモリは小さく持ち運びにも便利だが、本来の用途は「一時的なデータの保存や受け渡し」だ。
今回のインシデントを受けていろいろ調べた結果、下記のような物理的な要因で突然死するリスクが常にあることを知った。
- 温度
- 湿度
- 経年劣化
- 端子の摩耗
バックアップを含むデータ管理の運用変更の遅れ
昨年から下記のとおりの運用変更を検討していたが、移行作業(フォルダ構築など)の手間を理由に後回しにしていた。
- Webドライブをデータ保存先
- HDDをデータバックアップ先
客先ではWebドライブの利用が当たり前となっていたが、自社についてはUSB に依存したままだった。
長年、USBメモリを使用してきてインシデントがなかったことも、移行を遅らせた一因だ。
データの復旧
初動の重要性
データ損傷を最小限に抑えるために、下記を徹底した。
- USBメモリの抜き差しを繰り返さない
- データ復旧のフリーソフトはあるが、「データそのものに触る方法」を取らない
- 外部環境(PC、ネットワークなど)が原因でないか確認する
- インシデント発生前のUSBメモリへのアクセス時の状況はどうだったか整理する
- 早期にデータ復旧業者へ依頼する
業者選定のポイント
- 物理復旧の実績
- 見積もりの透明性
- データの取り扱い体制
- 初期診断後にデータの状況を確認できるか
- 特急対応があるか
データ管理の運用見直し
復旧データの納品を待つ間に、急ぎデータ管理の運用の見直しを行った。
- Webドライブ(OneDrive)をデータ保存先とする
- HDDをデータバックアップ先とする
- USBメモリの利用は、本来の用途である「一時的なデータの保存や受け渡し」に限定する
- デスクトップを作業場所とし、Webドライブのショートカットを置く
- USBメモリの利便性のひとつである「別ウィンドウやタブで並べて作業できること」をWebドライブのショートカットで再現し、「Webドライブに「アップロード」」することの煩わしさを回避
- HDDは複数年のデータ復旧保証が付いているものを選択
補足
- 復旧データは一次データとして「納品されたままの状態で」WebドライブとHDDに保存
- 復旧データには「一時ファイル」「破損データ」が含まれるため、視認性を上げるために整理が必要
- 初期診断後にデータの状況を確認できる一覧が提供されるが、納品データを実際に確認すると破損とされたデータも無事なことがある
- 状況を確認したデータは削除せず「※不使用 復旧データ確認済」などの名称を付したフォルダを作成し格納する
おわりに
今回のインシデントは、「USBメモリが壊れた」という表面的な話ではない。
本質は、「小さな油断」が積み重なると、いつか必ずリスクとして顕在化するということだ。
特に専門外の領域では、調べ方さえ分からないことも少なくなく対応を後回しにしがちだ。
私自身、自分の専門領域であれば常日頃からリスクヘッジしているが、データ管理の運用についてはリスクを過小評価していた。
今後は、専門外のことについても情報収集を怠らず、リスクを正しく評価し、正常な運用を継続していきたい。
ひとこと教訓
バイクひとコケ軽傷5万重症10万、データひとコケ軽傷5万重症10万
