目次
事例概要
業種業態 | 食品小売業(惣菜事業) |
主要プロジェクト種別 | 投資案件(将来のコスト削減) |
PMOの立ち位置 | 全社型(事業部本部が全店舗に対して改善支援) |
組織 | パーチャル組織(プロジェクトマネジャー、経営企画、事業部本部) |
主要役割 | エキスパート |
支援傾向 | ガバナンス支援(内部統制管理・内部体制管理) |
優先課題 |
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PMO主要支援内容 |
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問題の把握と分析
前提
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- 働き方改革関連法案の施行前(労働基準法・労働安全衛生法 改正法施行 平成31年(2019年)4月)
- 時間外労働の法律による上限規制はなし
- 医師による面接指導の対象となる労働者は、月100時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者で、面接指導を受けることの申出があった者
課題の認識
- 食品小売業の現場労働者(正社員、店長または店長候補)の時間外労働が恒常的に80時間を超えていた
- 総菜事業部は各店舗で時間外労働の多少の開きはあるものの、全体として過重労働の傾向が強かった
- 毎月の勤怠は給与計算担当部署を経て本社人事部に共有され、過重労働が認められる部署がある事業部には、労働安全衛生の担当上長へ過重労働者の情報が共有されていた
- 過重労働者には個別に医師による面接指導の勧奨と働き方の改善指導をしていたが、現場労働者の業界常識にも阻まれ改善が進まなかった
課題の分析
店舗毎の勤怠実績と理由
同じ事業部内でも店舗により時間外労働の実績に開きがあったため、要素を分析した
要素 テナント店 路面店 店舗規模・立地 東京城北・近県、駅改札最寄り 東京城南、地域商店街 人員構成 社員
正社員、店長または店長候補
パート
主婦、学生社員
正社員、店長または店長候補
パート
主婦人員熟練度 社員
・飲食業界ベテラン
・エリアマネージャー候補
パート
・勤続3~5年社員
・飲食業界ベテランパート
・勤続10年店舗オペレーション ・店長が立ち上げから締めまでの通し勤務であることが多い
・繁華街のため開店から閉店までコンスタントに来客があり、製造・販売に追われる
・テナント店のためレジ締め後の売上金預け処理がある
・学生パートが試験期間はシフトに入れず、人員不足となる・パートがベテラン揃いのため、立ち上げから締めまで任せることができる
・営業時間内にクリンリネスが徹底されている
・路面店のため、客の退きが早くレジ締め、閉店までスムーズ正社員の時間外労働 80~100時間/月 50~70時間/月 正社員の日常業務の洗い出し
惣菜事業の日常業務は、惣菜の製造・販売が共通の業務だが、正社員とパートの中核的業務は異なる
従事する業務 中核的業務 正社員 - 惣菜の製造・販売
- 発注
- 在庫管理
- クリンリネス
- シフト管理
- スタッフ指導
- レジ締め(売上金預け処理)
- 店舗運営
予算実績管理、設備管理等
- シフト管理
- スタッフ指導
- レジ締め(売上金預け処理)
- 店舗運営
予算実績管理、設備管理等
パート - 惣菜の製造・販売
- 発注
- 在庫管理
- クリンリネス
- レジ締め
- 惣菜の製造・販売
- クリンリネス
過重労働の原因究明
- テナント店と路面店で時間外労働に開きがあるが、路面店は熟練スタッフが多く自発的に次を考えて動けることが正社員の負担軽減に繋がっていた
- テナント店は若年層が多く、業務の適切な分担や営業時間内のクリンリネスが行き届いておらず、業務効率に問題があった
- テナント店の店長は飲食業界ベテランで有能なため自身で動いてしまう傾向が強く(マイクロマネジメント(過干渉の管理))、その反面でスタッフが育たないという環境だった
- テナント店はレジ締め後に商業施設運営会社にその日の売上金の預け処理があり、責任と難易度の高さから店長の仕事となっており、結果的に立ち上げから締めまでの通し勤務が増加していた
現場労働者の意識改革
- 店長または店長候補である正社員に、正社員の中核的業務への意識付けをする
- 現状、責任と難易度から正社員が担当している業務も、簡略化する、業務と責任を切り離すなど細分化し、正社員の手から離しパートスタッフに任せる仕事を増やしていく
- パートスタッフの中には惣菜の製造を好み接客やレジなどの表に出る業務を避ける者がいたため、円滑な店舗運営のために均等に割り振りし業務の選り好みをできないようにする
対策の実行
社内マネジメント共通・汎用ツールの開発
- 過重な時間外労働を管理するExcellツールを作成
- テナント店について、レジ締め後の売上金の預け処理業務をフロー図化
マネジメントプロセスの策定
- 月2回の勤怠締め(15日・月末)の際に個人別時間外労働をExcellツールで把握し、翌半月の時間外労働可能時間、複数月の時間外労働制限ラインを明確化
- 各店舗の社員に情報を共有
- 各店舗でシフト見直し、人員不足数の確認
- 他店舗応援要請、採用による増員等
本部上長と現場労働者の面談を通じた業務改善と意識改革
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- 組織において、現場の正社員に求める役割を改めて説明し、正社員の中核的業務を意識付け
- 正社員本人が考える「中核的業務に注力できない理由」をヒアリング
- ヒアリング内容と本部の分析内容を踏まえ、業務改善で解決すべきもの、正社員の意識に関わるもの、を明確にし共有
- 店舗オペレーションの改善アドバイス
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