事例・考察

時事考察

【コラム】第1回 育児休業の対象となる労働者

本日から、毎週日曜日にコラムを投稿します。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。

4月に育児介護休業法の改正が控えています。雇用側も労働者側も関心がある分野だと思います。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で改正についても触れていきます。

今回はまず、「育児休業の対象となる労働者」についてお話します。
私が労働局で指導員をしていた時も、「自分は対象になりますか」という問い合わせがコンスタントにありました。
どのような労働者が対象となり、また対象とならないのか、「子」はどこまでを含むのか、見ていきましょう。

1歳に満たない子を養育する労働者が対象
  • 日雇い労働者を除く
  • 性別を問わない
  • 配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中でも良い

男性には育児休業はないと言われた、という男性労働者からの相談を受けたことがありますが、男女共に要件を満たしていれば、休業の申出をすることができます。

養育する「子」とは
  • 法律上の親子関係がある子
  • 事実婚の子は申出時点で認知を行っていること
  • 法律上の親子関係に準ずる子(特別養子縁組の監護期間中の子など)

内縁のパートナーの子や事実婚の子も、要件を満たしていれば「育児休業申出に係る子」です。
3つ目の「法律上の親子関係に準ずる子」の詳細は割愛させて頂きます。

有期雇用労働者は育児休業をできるのか

育児休業の申出時点で下記の要件を満たしていれば、休業の申出をすることができます。

  • 子が1歳6ヵ月に達する日までに労働契約(更新される場合は更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

有期雇用契約はパート労働者の他、派遣社員のケースもありますが、契約書面上の雇用契約期間だけでなく実際の運用がどうなっているかで違いが出ます。
書面上では育児休業ができない労働者に思われても、「期間の定めがない契約と実質的に異ならない状態」となっている場合は、育児休業の申出をすることができます。

労使協定で対象外にできる労働者
  • 雇用期間が1年未満の労働者
  • 1年以内に雇用関係が終了する労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

多くの会社は労使協定で対象外にできる労働者を定めていますので、育児休業に関する規定を就業規則で確認する他、労使協定も確認しましょう。
一点、特に雇用側への注意点ですが、就業規則には対象外にする労働者を定めているものの、労使協定の締結を忘れていることがあります。
労使協定の締結は労働者を対象外にできることの要件ですので、締結をするまでは対象外にできません。
こちらは、就業規則を労働基準監督署へ提出する義務がない常時10人未満雇用の事業場も同じです。

以上、「育児休業の対象となる労働者」について見てきました。
今回の内容には、「1歳6ヵ月までの育児休業」「2歳までの育児休業」を含みません。
それぞれ「子が1歳に達する日」「子が1歳6ヵ月に達する日」に労働者本人または配偶者が育児休業をしている必要があるためです。
これらについては今後別の回で取り上げます。

「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし

PAGE TOP