毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。
前回は「育児休業の期間」の内、「期間の終了・申出の撤回等」についてお話しました。
今回からは、「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」、について複数回に分けてお話します。
産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)は男性の育児休業取得を促進する目的で設けられました。
育休中の就業が条件付きで可能であるなど、休業のハードルを下げる工夫が見られます。
初回の今回はまず「産後パパ育休の対象となる労働者」についてお話します。
出生後8週間以内の子を養育する労働者が対象
- 日雇い労働者を除く
- 産後休業をしている労働者を除く
- 配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中でも良い
産後休業は原則として産後8週間あるので、必然的に出産した女性は除かれます。
主な対象者が男性ですので、通称も「産後パパ育休」となっています。
ただし、女性でも休業に係る子が養子縁組した子などの場合は休業の申出をすることができます。
養育する「子」とは
通常の育児休業(1歳までの育児休業)の申出に係る子の定義と同じです。(参考:育児休業の対象となる労働者~養育する「子」とは)
- 法律上の親子関係がある子
- 事実婚の子は申出時点で認知を行っていること
- 法律上の親子関係に準ずる子(特別養子縁組の監護期間中の子など)
内縁のパートナーの子や事実婚の子も、要件を満たしていれば「育児休業申出に係る子」です。
3つ目の「法律上の親子関係に準ずる子」の詳細は割愛させて頂きます。
有期雇用労働者は産後パパ育休をできるのか
産後パパ育休の申出時点で下記の要件を満たしていれば、休業の申出をすることができます。
- 出生後8週間経過後6ヵ月経過日まで労働契約(更新される場合は更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
「出生後8週間の数え方」
- 子の出生前の申出の場合
- 子の出生後の申出の場合
出産予定日から起算して8週間
子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間
「具体例」
出産予定日:3/25
出生日:4/1 ←こちらが遅い方
申出日:4/2
4/1から起算して8週間経過の日 →5/26
8週間経過後の日 →5/27
5/27から6ヵ月経過日 →11/26
このケースですと、11/27以降に労働契約が続いていることが必要です。
尚、雇用契約が実際の運用ではどうなっているかについての注意点は、通常の育児休業の場合と同じです。
(参考:育児休業の対象となる労働者~有期雇用労働者は育児休業をできるのか)
労使協定で対象外にできる労働者
- 雇用期間が1年未満の労働者
- 産後パパ育休の申出の日から8週間以内に雇用関係が終了する労働者
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者
産後パパ育休も通常の育児休業と同じく労使協定で対象外にできる労働者を定めていることがあります。
産後パパ育休に関する規定を就業規則で確認する他、労使協定も確認しましょう。
また、雇用側への注意点も通常の育児休業と同じく、就業規則には対象外にする労働者を定めているものの、労使協定の締結を忘れていると、締結をするまでは対象外にできません。
就業規則を労働基準監督署へ提出する義務がない常時10人未満雇用の事業場についても同じです。
以上、「産後パパ育休の対象となる労働者」について見てきました。
産後パパ育休は、通常の育児休業とは別に定められている制度なので、1歳までの育児休業の申出可能回数とは別に申出可能回数が設けられている、育休中の就業が条件付きで可能である、など通常の育児休業とは異なる特徴があります。
通常の育児休業と合わせるとより柔軟な休業が可能となりますので、男性にはぜひ活用して頂きたいです。
(要件に該当する女性も産後パパ育休の申出をすることが可能です。)
次回は、「産後パパ育休の申出」、についてお話します。
「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし