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【コラム】第14回 産後パパ育休制度5~産後パパ育休の期間2~申出期限

毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。

前回は「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」の内、「産後パパ育休の休業期間」についてお話しました。
今回は、「産後パパ育休の申出期限」、についてお話します。

希望どおりに産後パパ育休を開始するには

産後パパ育休をすることができる要件としては、通常の育児休業と同じく「〇日前までに申出をしなければ休業することができない」という定めはありませんが、「事業主の休業開始予定日指定権」があるため、指定権が発生しないようにしなければなりません。
指定権は「申出があった日の翌日から起算して二週間経過日までの間で休業開始予定日を指定することができる」と定められています。
指定権を発生させず、希望どおりに産後パパ育休を開始するためには、結果としての「申出期限」があります。

  • 原則
  • 産後パパ育休開始希望日の2週間前まで申出をすること。
    事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間、です。

  • 厚生労働省令で定める事由がある場合
  • 下記のいずれかに該当した場合は、産後パパ育休開始希望日の1週間前まで申出をすること。

    • 出産予定日前に子が出生したとき
    • 配偶者が死亡したとき
    • 配偶者が傷病で、産後パパ育休申出に係る子の養育が困難になったとき
    • 配偶者が、産後パパ育休申出に係る子と同居しなくなったとき
    • 産後パパ育休申出に係る子が、傷病、身体または精神の障害、で2週間以上の世話が必要になったとき
    • 産後パパ育休申出に係る子について、保育所などの入所を希望しているが入所できないとき

    事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までの間、です。

  • 申出期限について労使協定を締結する場合
  • 下記について労使協定を締結する場合は、労使協定で定めた期限までに申出をすること。

    • 産後パパ育休の申出が円滑に行われるようにするために「雇用環境の整備その他の厚生労働省令で定める措置」を講じること、及びその内容
    • 法の義務を上回る、下記のすべての措置を講じることを定めなければなりません。

      1. 下記のうち、2つ以上の措置を講じること
        • 育児休業に関する研修の実施
        • 育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
        • 自社の労働者の育児休業取得事例の収集・提供
        • 自社の労働者へ育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
        • 育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又
          は人員の配置に係る必要な措置
        • 育児休業をする労働者が担当していた業務を含めて、業務の配分や人員の配置について全体最適化をする必要があります。

      2. 育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知する
        こと
      3. 定量的な目標」は数値目標です。
        各企業で独自に定めた制度に関する目標を設定することも可能です。

      4. 育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握する
        ための取組を行うこと
      5. 産後パパ育休を含む育児休業の取得意向の確認を行うことは、申出期限について労使協定を締結する場合に限らずすべての事業主に義務付けられています。
        意向を把握するための取組は、法の義務を上回ることが必要です。

      ※育児休業には産後パパ育休を含みます。

      雇用環境の整備その他の厚生労働省令で定める措置」、「意向を把握するための取組」、についての詳細は今後別の回で取り上げます。

    • 申出期限
    • 申出があった日の翌日から起算して2週間超から1ヵ月以内の期間で定めることができます。

事業主が産後パパ育休の開始予定日を指定した場合の通知
  • 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが4日以上ある場合
  • 申出をした日の3日後までに、指定した日を通知しなければなりません。

  • 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが3日以内の場合
  • 労働者の休業開始希望日までに指定した日を通知しなければなりません。

有期雇用労働者が労働契約更新後に引き続き休業をする場合の申出

事業主の休業開始予定日指定権」はありません。
現在の労働契約が満了する前に申出をすれば、更新後の労働契約期間の初日から引き続き休業をすることができます。

以上、「産後パパ育休の申出期限」について見てきました。
事業主の休業開始予定日指定権」は行使しなければならないものではありませんので、通常の育児休業と同じく、事業主が同意すれば労働者の希望どおりに産後パパ育休を取得させることはできます。
次回は、「産後パパ育休の変更の申出等」についてお話します。

「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし

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