毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。
前回は「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」の内、「産後パパ育休期間中の就業」の申出から就業日等の決定まで、についてお話しました。
今回は、「産後パパ育休期間中の就業」の撤回に関する手続き、についてお話します。
事業主の就業日等の提示に対する同意の撤回
産後パパ育休中の就業について、事業主が就業日等の提示をし、それに労働者が同意をしても、産後パパ育休開始予定日前日まで、同意の全部または一部を撤回することができます。
- 撤回にあたり事業主に申し出なければならない内容
- 同意を全部または一部撤回する旨
- 撤回する就業の年月日
- 撤回方法
- 事業主が下記のいずれかを撤回方法として適当と認めている
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メールその他を利用して送信する方法
- 電子メールその他による撤回の場合は、印刷し書面を作成できること
原則として、書面を提出することで産後パパ育休期間中の就業についての同意の撤回をします。
ただし、下記の場合は書面以外の方法で行うことができます。
電子メールその他の「その他」についてですが、イントラネットやGmailなどのwebメール、SNSなどを指します。
事業主が認めた場合はこれら電子的な方法で撤回をすることができます。
産後パパ育休開始後の事業主の就業日等の提示に対する同意の撤回
産後パパ育休開始後も、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、同意の全部または一部を撤回することができます。
- 撤回にあたり事業主に申し出なければならない内容
- 同意を全部または一部撤回する旨
- 撤回する就業の年月日
- 撤回を申し出ることが許される事実(厚生労働省令で定める特別の事情)
- 厚生労働省令で定める特別の事情とは
- 配偶者が死亡
- 配偶者が傷病、身体または精神の障害、その他これらに準ずる心身の状況で、産後パパ育休申出に係る子の養育が困難になった
- 離婚など、配偶者が産後パパ育休申出に係る子と同居しなくなった
- 産後パパ育休申出に係る子が、傷病、身体または精神の障害、その他これらに準ずる心身の状況で、2週間以上の世話が必要になった
- 撤回方法
産後パパ育休開始予定日前日までの、撤回方法と同じです。
就業日等の同意の撤回に対する事業主の通知
通知は、労働者から撤回の申し出がされた時点から、おおむね1週間以内に(速やかに)しなければなりません。
- 通知しなければならない内容
- 同意の全部または一部を撤回する申出を受けた旨
- 産後パパ育休開始後の撤回の申出を拒む場合には、その旨と理由
- 通知方法
- 労働者が下記のいずれかを通知方法として希望している
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メールその他を利用して送信する方法
- 電子メールその他による通知の場合は、印刷し書面を作成できること
原則として、書面を交付することで通知をします。
ただし、下記の場合は書面以外の方法で行うことができます。
電子メールその他の「その他」についてですが、イントラネットやGmailなどのwebメール、SNSなどを指します。
労働者が希望した場合はこれら電子的な方法で通知をすることができます。
以上、「産後パパ育休期間中の就業」の内、撤回に関する手続き、について見てきました。
産後パパ育休期間中の就業が認められるようになった背景は、産後パパ育休の主な対象労働者である男性の育児休業取得率を向上させることです。
そのため、就業可能とされた労働者からの休業中の就業の希望がスタートとなっています。
また、就業を希望する申出をした時点から産後パパ育休開始後まで、タイミングによっては「事情」が必要となりますが、撤回が認められています。
つまり、「事業主が産後パパ育休中の就業を求めることができる制度」ではない、ということです。
産後パパ育休の就業について、不利益取扱いの禁止も定められており、労働局によるいわゆる調査の対象となることがありますので、誤った取扱いをしないように注意しましょう。
不利益取扱いの禁止については、今後別の回で取り上げます。
次回からは、介護休業制度についてお話します。
「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし