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【コラム】第7回 育児休業の期間3~申出期限

毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。

前回は「育児休業の期間」の内、「パパ・ママ育休プラス」についてお話しました。
今回は「申出期限」、についてお話します。

希望どおりに育児休業を開始するには

育児休業をすることができる要件としては、「〇日前までに申出をしなければ休業することができない」という定めはありませんが、「事業主の休業開始予定日指定権」があるため、指定権が発生しないようにしなければなりません。
指定権は「申出があった日の翌日から起算して一月等経過日までの間で休業開始予定日を指定することができる」と定められています。
指定権を発生させず、希望どおりに育児休業を開始するためには、結果としての「申出期限」があります。

  1. 1歳までの育児休業
    • 原則
    • 育児休業開始希望日の1ヵ月前まで申出をすること。
      事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して1ヵ月を経過する日までの間、です。

    • 厚生労働省令で定める事由がある場合
    • 下記のいずれかに該当した場合は、育児休業開始希望日の1週間前まで申出をすること。

      • 出産予定日前に子が出生したとき
      • 配偶者が死亡したとき
      • 配偶者が傷病で、育児休業申出に係る子の養育が困難になったとき
      • 配偶者が、育児休業申出に係る子と同居しなくなったとき
      • 育児休業申出に係る子が、傷病、身体または精神の障害、で2週間以上の世話が必要になったとき
      • 育児休業申出に係る子について、保育所などの入所を希望しているが入所できないとき

    事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までの間、です。

  2. 1歳6ヵ月までの育児休業
    • 【原則】子の1歳の誕生日(1歳到達日の翌日)から休業開始希望
    • 子の1歳の誕生日(1歳到達日の翌日)の2週間前まで申出をすること。

    • 【例外】柔軟なタイミングでの育児休業開始希望
    • (参考:育児休業の期間1-2

      • 子の1歳の誕生日(1歳到達日の翌日)から2週間の間で休業開始希望
      • 育児休業開始希望日の2週間前まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間、です。

      • 子の1歳2週間から1歳1ヵ月到達日までに休業開始希望
      • 子の1歳の誕生日前日(1歳到達日)まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間、です。

      • 子の1歳1ヵ月到達日後に休業開始希望
      • 育児休業開始希望日の1ヵ月前まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して1ヵ月を経過する日までの間、です。

  3. 2歳までの育児休業
    • 【原則】子の1歳6ヵ月歳到達日の翌日から休業開始希望
    • 子の1歳6ヵ月歳到達日の翌日の2週間前まで申出をすること。

    • 【例外】柔軟なタイミングでの育児休業開始希望
    • (参考:育児休業の期間1-2

      • 子の1歳6ヵ月歳到達日の翌日から2週間の間で休業開始希望
      • 育児休業開始希望日の2週間前まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間、です。

      • 子の1歳6ヵ月2週間から1歳7ヵ月到達日までに休業開始希望
      • 子の1歳6ヵ月歳到達日まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間、です。

      • 子の1歳7ヵ月到達日後に休業開始希望
      • 育児休業開始希望日の1ヵ月前まで申出をすること。
        事業主の指定権は、申出があった日の翌日から起算して1ヵ月を経過する日までの間、です。

補足:「パパ・ママ育休プラス」により、1歳までの育児休業の終了予定日が1歳の誕生日前日(1歳到達日)より後になった場合は、「1歳の誕生日前日(1歳到達日)」を「1歳の誕生日以後(1歳到達日後)の本人または配偶者の育児休業終了予定日」と読み替えます。

事業主が育児休業開始予定日を指定した場合の通知
  • 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが4日以上ある場合
  • 申出をした日の3日後までに、指定した日を通知しなければなりません。

  • 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが3日以内の場合
  • 労働者の休業開始希望日までに指定した日を通知しなければなりません。

有期雇用労働者が労働契約更新後に引き続き休業をする場合の申出

事業主の休業開始予定日指定権」はありません。
現在の労働契約が満了する前に申出をすれば、更新後の労働契約期間の初日から引き続き休業をすることができます。

以上、「申出期限」について見てきました。
事業主の休業開始予定日指定権」は行使しなければならないものではありませんので、もちろん事業主が同意すれば労働者の希望どおりに育児休業を取得させることはできます。
ただし、指定権がある趣旨は、労働者が育児休業をするに当たって、業務の引き継ぎ時間や代替要員の確保など事業主への配慮であること、です。
育児休業は労働者の権利ですが、気持ちよく休業をすることができるように、可能な限り計画をしっかり立てましょう。

次回は、「育児休業の変更の申出等」、についてお話します。

「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし

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