毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。
前回は「介護休業の対象となる労働者」、についてお話しました。
今回は、「介護休業の申出」についてお話します。
介護休業をするにはまず事業主に対して申出をしなければなりません。
そしてこの申出ですが、「申出方法」「申出なければならない内容」があります。
こちらを満たしていないと正式な申出をしたことになりません。
また育児休業と同じく「申出が可能な回数」がありますが、介護休業は育児休業のような再度の申出の制度はありません。
そして介護休業は「要介護状態」にある「対象家族」について申出をできる制度であることを前回お話しましたが、対象家族1人につき「通算での日数上限」があります。
どのような方法で、どのような内容を申出なければならないのか、見ていきましょう。
介護休業の申出方法
原則として、書面を提出することで介護休業の申出をします。
コロナ禍を経て、様々なことがペーパーレス化していますが、介護休業の申出は下記の場合を除き書面で行うことになっています。
- 事業主が下記のいずれかを申出方法として適当と認めている
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メールその他を利用して送信する方法
- 電子メールその他による申出の場合は、印刷し書面を作成できること
電子メールその他の「その他」についてですが、イントラネットやGmailなどのwebメール、SNSなどを指します。
事業主が認めた場合はこれら電子的な方法で申出をすることができますが、「申出なければならない内容」が漏れなく記載されていなければ正式な申出をしたことになりませんので、実務的にはフォーマット化することをお勧めします。
介護休業の申出が可能な回数と日数上限
介護休業は、対象家族1人につき、3回まで、通算して93日まで、申出をすることができます。
育児休業と比べますと、通算して93日は短いようにも感じますが、介護休業制度の趣旨が「自ら介護をすること」ではなく「公的なものを含む各種サービス等を利用して家族の介護をする体制を準備すること」であるためです。
私も昨年初秋に本格的に母の介護が始まりましたが、介護認定を含め家族の介護をする体制の準備は約3ヵ月かかり、その間は仕事に集中できない状態でしたので、約3か月間の休業ができ、雇用保険制度で介護休業給付という保障があることは、とても意味があることだと思います。
参考:有期雇用労働者の介護休業
労働契約更新後も引き続き休業をしたい場合、暦の上では間は空いていませんが、改めて、更新後の労働契約期間の初日を介護休業開始予定日として、申出をしなければなりません。
労働契約更新のお話があった場合、こちらについても忘れず確認し手続きをしてください。
介護休業の申出に当たって申出なければならない内容
申出なければならない内容は下記です。
人事労務担当者や総務担当者など、窓口担当者がチェックをしてくれているはずと思っていても、案外チェック漏れや理解不足で「正式な申出」となっていないケースがありますので、提出前チェックを必ずしましょう。
- 申出の年月日
- 労働者の氏名
- 申出に係る家族の状況
- 氏名
- 労働者との続柄
- 要介護状態にあること
- 休業の開始予定日、休業の終了予定日
- 申出に係る家族について、これまで介護休業をした回数及び日数
具体的には、「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」のどの項目に該当するか、などが考えられます。
また、判断基準だけでは判断が難しい場合は、要介護認定の結果通知書や医師の診断書を添付することも考えられますが、事業主がこれらの添付を介護休業制度利用の条件とすることはできませんので、注意が必要です。
以上、「介護休業の申出」について見てきました。
次回は、労働者が申出をした後に事業主がしなければならないこと、また事業主の義務、についてお話します。
「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし







