一社労士の「芽」

システム導入とルール最適化

業務改善のためにIT化を推進することが当たり前となっています。

コロナ禍でテレワークが推進されたこともあり、これまでIT化に積極的ではなかった中小企業も、程度の差こそあれど経営課題として取り上げざるを得なくなりました。

働き方改革で業務効率化・生産性向上・労働時間抑制が求められたこともあります。
IT化の代表的なものは、業務系基幹システム、勤怠管理システム、Web会議システム、Remoteシステムでしょうか。

システムの新規導入や入れ替えをして、業務の見える化、仕事の渋滞の解消、部署間連携改善、納期短縮、といった成果は出ましたか?
決して安くはない導入コストをかけたにも関わらず、想定していた成果が出ず、もっとひどい場合にはさらなる業務の混乱を招いているケースもあると思います。

システムの新規導入や入れ替えをする場合、導入によって何をしたいのか、会社の利益にどのように貢献するのか、マイナスとなる影響はないのか、を計画段階で検討します。
そしてテスト期間にそれらをチェックし、本導入後もPDCAを回して常に最適化します。

計画段階での検討の精度が信頼できるものであれば、想定していたとおりの成果が出ますし、最適化を繰り返すことで効果も増します。

それでは、慎重に計画を策定したにも関わらず、効果が出なかったりマイナスが大きくなったりすることがあるのはなぜなのでしょうか。

自分自身がそういった事例を分析する場合、前提条件に誤りがなかったか、想定される影響の見落としがなかったか、を確認していきます。
ここでの「システム」とは、「導入した狭義のシステム」ではなく、業務フローを含む「組織」「系統」「体系」を指します。
システムは条件設定で動くものなので、前提が正しくなければ求めている動きをしません。
経験から、中小企業・小規模事業者はたいていこの方法で修正可能でした。

実際は多くの事例がありますので、自分がまだ知らない切り口があるかもしれない、またはより良い方法があるかもしれない、と考え手に取ったのが「チェンジ・ザ・ルール!(エリヤフ・M.ゴールドラット著)」です。

本書では、システム導入によって経営資源に余剰能力が出た場合に、その能力に合わせて新ルール(業務フローではない)を策定しメリットを最大化する、という事例を取り上げていました。
具体的には、納期の短縮、最適在庫、売上計上タイミングの改定、等です。
システムを動かす前提条件の精査ではなく、IT化によって拡大された能力をどのように経営戦略に反映していくかという視点です。

IT化は単なる業務効率化手段ではなく、既存の仕組みを大きく変革するものであるという認識(前提条件が根底から変わる)が自由な発想に繋がるのかもしれません。

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