一社労士の「芽」

働き方の多様性の行方

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置がさらに延長され、6月20日までとなりました。

一般のワクチン接種がようやく始まり、接種率が順調に上がり感染拡大を抑えていくことを期待していましたが、経済がそれまで持つのか社会不安がさらに深まりました。
自分を含めて、意見はあれど、行動制約をし耐え続けてきたのが、いわゆる低所得者層以外も生活破綻の危機が迫っています。

緊急雇用安定助成金をはじめとする各種助成金も延長を繰り返し、企業存続と雇用を守ってきましたが、コロナ禍が1年を超えたこともあり、段階的に対象や助成額が縮小され7月には従来型に着地していくようです。
(参考:7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

一方で、定額給付金を再び、という話が出たり。

自分自身、コロナ禍により案件自体が激減したり、企業活動停滞により働き方改革等の行政関連の仕事が実質止まってしまったり、という中で模索を続けていますが、仕事を得るスタートラインに立つことすら難しくなっていると感じます。

働き方改革が始まり、働き方の多様性が一時進んだと思いましたが、雇用にしろ業務委託にしろほぼフルタイム型に戻っています。
企業活動停滞を受けて少数精鋭型が進み、基幹的な働き方を求めてフルタイム就業を前提にする方向へシフトした側面もありますが、単発短時間の働き方を軸にすることが日雇い派遣の否定以降に実質的に難しくなっているという側面もあります。
日雇い派遣否定の件は社会問題になったブラック派遣取り締まりのためなので、致し方なくはあるのですが。

フルタイムではない派遣就業を含んだパートタイムという働き方は、企業の労働者不足を補ってきた一方、働ける時間に制約がある子育て世代、健康面に不安が少なくない高齢者や病を持ちながら働く人、兼業で生活を維持せざるを得ないフリーランス、の需要も満たしてきました。

旧来型の日本の雇用慣行とは違う理由だとしても、結果としてフルタイム原則が復活し、働き方の多様性が失われていくとすると、働き方改革の失敗というだけではなく、仕事を得られない人が増え貧困率が高まっていくでしょう。

一生のうち、できるだけ長く働けることを目指して創業支援も国の施策の方向性のひとつでしたが、事業として成功を収められる確率は従来から低く、本業だけで食べていけるようになるまでは兼業・副業が当たり前(サブ収入でメインを補填する)なことを考えると、フルタイム原則はこちらにも大きな影響を及ぼしそうです。

以上、肌で感じた雇用に関する状況ですが、最新の「毎月勤労統計調査」の結果を見て、数値的にも裏付けられると感じ考察してみました。

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