毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。
前回は「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」の内、「産後パパ育休の申出期限」についてお話しました。
今回は、「産後パパ育休の変更の申出等」、についてお話します。
産後パパ育休開始予定日の変更
産後パパ育休の開始予定日は、当初の開始予定日の前日までに下記の厚生労働省令で定める事由がある場合は、産後パパ育休1回につき1回に限り変更の申出をすることができます。(繰上げ変更)
- 出産予定日前に子が出生したとき
- 配偶者が死亡したとき
- 配偶者が傷病で、産後パパ育休申出に係る子の養育が困難になったとき
- 配偶者が、産後パパ育休申出に係る子と同居しなくなったとき
- 産後パパ育休申出に係る子が、傷病、身体または精神の障害、で2週間以上の世話が必要になったとき
- 産後パパ育休申出に係る子について、保育所などの入所を希望しているが入所できないとき
事由に該当した場合は、産後パパ育休開始希望日の1週間前までに申出をすることが必要です。
申出が遅れた場合には、前回お話しましたが、事業主の休業開始予定日指定権がありますので、希望日よりも休業開始が後ろ倒しになる可能性があります。
(参考:産後パパ育休の期間2~申出期限)
尚、事業主が繰上げ変更の申出に対して産後パパ育休開始予定日を指定した場合は、下記のとおり通知が必要です。
- 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが4日以上ある場合
- 労働者が申出をした日から休業開始希望日までが3日以内の場合
申出をした日の3日後までに、指定した日を通知しなければなりません。
労働者の休業開始希望日までに指定した日を通知しなければなりません。
産後パパ育休終了予定日の変更
産後パパ育休の終了予定日は、理由を問わず産後パパ育休1回につき1回に限り変更の申出をすることができます。(繰下げ変更)
事業主への申出の期限は、当初の産後パパ育休終了予定日の2週間前までです。
(この場合の期限は、事業主の指定権を発生させないための結果としての期限ではなく、本来の意味での期限(繰下げ変更の申出の要件)です。)
変更の申出方法
原則として、書面を提出することで変更の申出をします。
下記の場合は書面以外の方法で申出をすることができます。
- 事業主が下記のいずれかを申出方法として適当と認めている
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メールその他を利用して送信する方法
- 電子メールその他による申出の場合は、印刷し書面を作成できること
電子メールその他の「その他」についてですが、イントラネットやGmailなどのwebメール、SNSなどを指します。
変更の申出に当たって申出なければならない内容
申出なければならない内容は下記です。
(参考:産後パパ育休の申出)
- 変更の申出の年月日
- 変更の申出をする労働者の氏名
- 変更後の産後パパ育休開始または終了予定日
- 変更の申出の事由(繰上げ変更の場合のみ)
変更の申出に対する事業主の通知
事業主は、変更の申出をした労働者に対して、原則としておおむね1週間以内に(速やかに)下記を通知しなければなりません。
- 変更申出を受けた旨
- 産後パパ育休開始または終了予定日
繰上げ変更の場合は、労働者の申出が遅れた場合は、休業の開始時期を事業主が指定することができます(事業主指定権)。
変更後の産後パパ育休取扱いの通知方法
原則として、書面を交付することで変更後の産後パパ育休の取扱いに関する通知をします。
変更の申出方法と同じく、変更後の産後パパ育休の取扱いに関する通知は下記の場合を除き書面で行うことになっています。
- 労働者が下記のいずれかを通知方法として希望している
- ファクシミリを利用して送信する方法
- 電子メールその他を利用して送信する方法
- 電子メールその他による通知の場合は、印刷し書面を作成できること
電子メールその他の「その他」についてですが、イントラネットやGmailなどのwebメール、SNSなどを指します。
(参考:事業主の義務)
以上、「産後パパ育休の変更の申出等」について見てきました。
産後パパ育休も通常の育児休業と同じく、事業主との面談で取得時期を含めよく相談し、可能な限り計画をしっかり立てることは必要ですが、出産が予定日より早まるなど、必ずしも計画どおりにはいかないこともありますので、回数制限はありますが産後パパ育休も変更の申出をすることができることを覚えておきましょう。
次回は、「産後パパ育休の期間の終了・申出の撤回等」についてお話します。
「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし