事例・考察

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【コラム】第4回 育児休業の期間1-1

毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。

前回は「事業主の義務」についてお話しました。
今回は「育児休業の期間」についてお話します。

「育児休業をすることができる労働者の要件」に該当する労働者は、正しく育児休業の申出をした場合、原則として子が出生した日から子の1歳の誕生日の前日(1歳到達日)まで育児休業をすることができます。
また、保育園に入所できないなど、子の1歳の誕生日以降も休業する必要がある場合は、定められた要件に該当すると1歳以降の育児休業もすることができます。
(参考:育児休業の対象となる労働者育児休業の申出

それでは、「子の1歳の誕生日以降も育児休業をすることができる労働者の要件」「休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合(厚生労働省令で定める場合)」、を見ていきましょう。

子が1歳6ヵ月になるまでの育児休業をすることができる労働者

育児休業に係る子の1歳の誕生日の前日(1歳到達日)に下記のすべてに該当し、事業主に対して育児休業の申出をしなければなりません。

  • 労働者本人または配偶者が育児休業をしていること
  • 休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合(厚生労働省令で定める場合)であること
  • 1歳6ヵ月までの育児休業をしたことがないこと(原則)

「1歳6ヵ月までの育児休業」を申出ることができる回数は、原則1回です。
ただし、下記の事情(厚生労働省令で定める特別の事情)が生じた場合は、再度の申出をすることができます。

  1. 新たな産前産後休業、産後パパ育休、育児休業、の開始で休業が終了していた場合
  2. 第一子について休業をしていた時に、第二子について休業が開始した時などが当たります。

    • 新たな休業の対象となった子が死亡
    • 新たな休業の対象となった子が他人の養子になったなど、労働者と同居しなくなった
  3. 介護休業の開始で休業が終了していた場合
    • 介護休業の対象となった家族(対象家族)が死亡
    • 離婚など、労働者との親族関係が消滅
子が2歳になるまでの育児休業をすることができる労働者

育児休業に係る子が1歳6ヵ月になる日の前日(1歳6ヵ月到達日)に下記のすべてに該当し、事業主に対して育児休業の申出をしなければなりません。

  • 労働者本人または配偶者が育児休業をしていること
  • 休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合(厚生労働省令で定める場合)であること
  • 2歳までの育児休業をしたことがないこと(原則)

「2歳までの育児休業」を申出ることができる回数は、原則1回です。
ただし、下記の事情(厚生労働省令で定める特別の事情)が生じた場合は、再度の申出をすることができます。

  1. 新たな産前産後休業、産後パパ育休、育児休業、の開始で休業が終了していた場合
  2. 第一子について休業をしていた時に、第二子について休業が開始した時などが当たります。

    • 新たな休業の対象となった子が死亡
    • 新たな休業の対象となった子が他人の養子になったなど、労働者と同居しなくなった
  3. 介護休業の開始で休業が終了していた場合
    • 介護休業の対象となった家族(対象家族)が死亡
    • 離婚など、労働者との親族関係が消滅
休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合(厚生労働省令で定める場合)

1歳6ヵ月まで、または2歳まで、の育児休業をすることができる労働者の要件の2つ目である「休業が必要な理由(休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合)」は、厚生労働省令で下記が定められています。

  • 育児休業の申出に係る子について、子の1歳の誕生日以降、保育所に入所ができないなど
    • 子の1歳の誕生日の前日(1歳到達日)までに、保育所等の申込みをしており、入所等ができないことが確定していることが必要です。
    • 具体的には、「入所不承諾通知書」などを受領していることが当たります。
      ただし、入所等ができないことが確定していたとしても、速やかな職場復帰(雇用継続)のための申込みではなく、休業延長のためや育児休業給付金の支給延長のためといった、育児休業制度の趣旨に合わない実態の場合は、休業の延長はできません。

    • 保育所等には、認可外保育施設を含みません。
  • 普段、育児休業の申出に係る子を養育している配偶者が、子の1歳の誕生日以降も同じく養育する予定だったのが、下記に該当する場合
    • 死亡
    • 傷病、身体または精神の障害、で子の養育が困難になった
    • 離婚など、子と同居しなくなった
    • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定、または産後8週間を経過しない

2歳までの育児休業の場合は、下記のとおり読み替えてください。
子の1歳の誕生日以降 → 子が1歳6ヵ月になる日以降
子の1歳の誕生日の前日(1歳到達日) → 子が1歳6ヵ月になる日の前日(1歳6ヵ月到達日)

以上、「育児休業の期間」について見てきました。
今回の内容では、「1歳以降の育児休業」を中心に見てきました。
次回は、「1歳以降の育児休業」の開始予定日の原則と例外、有期雇用労働者も「1歳以降の育児休業」をできるのか、についてお話します。

「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし

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