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【コラム】第9回 育児休業の期間5~期間の終了・申出の撤回等

毎週日曜日のコラムです。
法改正などを身近なものと感じて頂けるよう、基本的なことをわかりやすく取り上げます。
今後、複数回にわたり現行の育児介護休業法を取り上げ、その中で4月の法改正についても触れていきます。

前回は「育児休業の期間」の内、「変更の申出等」についてお話しました。
今回は育児休業の「期間の終了・申出の撤回等」、についてお話します。

育児休業の終了

育児休業は下記に該当すると、労働者の意思にかかわらず終了します。

  1. 下記(厚生労働省令で定める事由)により、申出に係る子を養育しないこととなった
    • 子が死亡
    • 子と離縁、または養子縁組を取消
    • 子が他人の養子になったなど、労働者と同居しなくなった
    • 特別養子縁組の不成立など
    • 労働者が傷病、身体または精神の障害、で子の養育が困難になった

    子を養育しないこととなった場合は、事業主にその旨を遅滞なく(※)通知しなければなりません。

  2. 1歳までの育児休業について、子が1歳に達した
  3. 1歳6ヵ月までの育児休業について、子が1歳6ヵ月に達した
  4. 2歳までの育児休業について、子が2歳に達した
  5. 新たな産前産後休業、産後パパ育休、育児休業、介護休業、が開始した

労働局で指導員をしていた時に、「1歳以降の育児休業中に子が保育園に入園することになったが、育児休業は終了するのか」という問い合わせがあったことがあります。
1歳以降の育児休業は「休業することが雇用継続のために特に必要と認められる場合(厚生労働省令で定める場合)であること」等の要件に該当すると申出をすることができますが、1歳以降の育児休業を開始後に「保育所などに入所できた」としましても、育児休業は途中で終了しません。
ただし、保育所などの入園条件に「復職を〇月中にする」など復職に関することがある場合があるので、復職日について事業主と相談することが必要です。

参考:育児休業開始前に子を養育しないこととなった場合

下記(厚生労働省令で定める事由)に該当すると、育児休業の申出がされなかったことになります。

  • 子が死亡
  • 子と離縁、または養子縁組を取消
  • 子が他人の養子になったなど、労働者と同居しなくなった
  • 特別養子縁組の不成立など
  • 労働者が傷病、身体または精神の障害、で子の養育が困難になった
  • パパママ育休プラスの場合に、配偶者が子の1歳到達日以前に育児休業をしていない
  • 労働者の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日と同じ場合を除きます。
    パパ・ママ育休プラスについて詳細を知りたい場合は、LINE公式アカウントのアプリにある「個別相談」からご相談ください。)

事業主にその旨を遅滞なく(※)通知しなければなりません。

※「遅滞なく」は一般的には1ヵ月以内が目安ですが、この通知は「育児休業の終了」に関するものなので、元々の意味どおりに「事情の許す限りはやく」と覚えてください。

育児休業申出の撤回

育児休業開始予定日の前日までは、育児休業の申出撤回することができます。
ただし、「撤回」は育児休業を取得したものとみなされるので注意が必要です。
1歳までの育児休業は、原則として2回まで申出をすることができるので、1回撤回をしたとしてもあと1回は申出をすることができます。
1歳以降の育児休業(~1歳6ヵ月、~2歳)は、原則として1回ずつしか申出をすることができないので、1回でも撤回をしてしまうと申出をすることができなくなります。

育児休業申出の撤回後の再度の申出
1歳までの育児休業

下記の事情(厚生労働省令で定める特別の事情)が生じた場合は、再度の申出をすることができます。

  1. 新たな産前産後休業、産後パパ育休、育児休業、の開始で休業が終了していた場合
  2. 第一子について休業をしていた時に、第二子について休業が開始した時などが当たります。

    • 新たな休業の対象となった子が死亡
    • 新たな休業の対象となった子が他人の養子になったなど、労働者と同居しなくなった
  3. 介護休業の開始で休業が終了していた場合
    • 介護休業の対象となった家族(対象家族)が死亡
    • 離婚など、労働者との親族関係が消滅
  4. 配偶者が下記に該当する場合
    • 死亡
    • 傷病、身体または精神の障害、で子の養育が困難になった
    • 離婚など、子と同居しなくなった
  5. 育児休業の可能回数を終えた子が下記に該当する場合
    • 傷病、身体または精神の障害、で2週間以上の世話が必要になった
  6. 保育所などの入所を希望しているが入所できない場合
  7. 認可外保育施設は「保育所など」に含みません。

1歳以降の育児休業

下記の事情(厚生労働省令で定める特別の事情)が生じた場合は、再度の申出をすることができます。

  1. 配偶者が下記に該当する場合
    • 死亡
    • 傷病、身体または精神の障害、で子の養育が困難になった
    • 離婚など、子と同居しなくなった
  2. 子が下記に該当する場合
    • 傷病、身体または精神の障害、で2週間以上の世話が必要になった
  3. 保育所などの入所を希望しているが入所できない場合
  4. 認可外保育施設は「保育所など」に含みません。
    (参考:育児休業の申出

以上、「期間の終了・申出の撤回等」について見てきました。
育児休業の申出撤回した場合の補足ですが、1歳までの育児休業を撤回したことで原則2回の申出可能回数を消化してしまったとしても、1歳以降の育児休業については配偶者との交代の場合には申出をすることができます。
同様に、1歳6ヵ月までの育児休業を撤回したことで申出をすることができなくなったとしても、2歳までの育児休業については配偶者との交代の場合には申出をすることができます。

とはいえ、撤回は、厚生労働省令で定める特別の事情が生じた場合でなければ再度の申出をすることができないので、やはり可能な限り計画をしっかり立て、撤回をしなくて済むようにすることが大切です。

次回からは、「産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)」、について複数回に分けてお話します。

「参考資料」
育児・介護休業法のあらまし

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